2004.10.03

予防接種の「1週間後」とは

 空いた時間に、リンクを張っていただいているサイトを眺めていたら、興味深い指摘をいただいているページを見つけた。
 これについて、本家サイトに補足説明を載せたが、ネタになる(;^^)bので、こちらにも載っけておく。




予防接種の「1週間後」とは

 表ページに

   >2)福岡市では、「1週間後」とは、次の週の同じ曜日の意味です。
   >
   >たとえば水曜日に日本脳炎の1回目の予防接種をしたら、
   >2回目は次の週の水曜日からできます。
   >(民法上の解釈ではもう1日後の木曜日から)

…と、なんだか不自然な記載をしている理由



民法では、「1週間」「1カ月」などの期間について、次のように定めています。

第140条 期間ヲ定ムルニ日、週、月又ハ年ヲ以テシタルトキハ期間ノ初日ハ之ヲ算入セス 但其期間カ午前零時ヨリ始マルトキハ此限ニ在ラス 
…つまり、水曜日に予防接種をしたら、「一週間」は次の木曜日から数え始め…
(例外は水曜日の午前0時にした場合ですが、夜中に予防接種はしません。(;^^)b)

第141条 前条ノ場合ニ於テハ期間ノ末日ノ終了ヲ以テ期間ノ満了トス
…つまり、木曜日を1日目と数え始めた7日目、次の週の水曜日が終わるときに「1週間」が終わり…

民法どおりの解釈を行うと、「1週間後」の予防接種はその次の日、木曜日となります。

 日常の感覚では、「水曜日の1週間後とは次の週の水曜日」なわけですし、予防接種の外来日が「毎週何曜日」と決まっているところでは、次回受診のタイミングがずれてしまいます。

 そこで、困った私の地元では、医師会→政令市→厚生省(当時)と、人づたいで担当者に、予防接種の「1週間」についてお伺いをたてたところ、「水曜日接種→次回水曜日接種」で構わないとのご託宣をいただきました。

 ところが、他の複数の地方で別の時期に、医師会→県→厚生省ルートで確認したところ…、あったんですねぇ「水曜日接種→次回木曜日接種」でないと駄目のご神託が。
 つまり、
 厚生省の担当者が変わると、「1週間」の長さが変わることがあった。(笑)

 そのせいで現在の日本では、地域によって予防接種の1週間が「水→水」になったり、「水→木」になったりしているのです。

…で、厚労省の予防接種に関する検討会だか、日本ワクチン学会だかの偉い人にお尋ねしたところ「民法(歴的計算方法の原則初日不参入)の解釈では水曜→木曜であるが、水曜→水曜の解釈で厚労省から承諾も取っている」と説明されたそうです。
 
 だったら、改正されたときの予防接種法か予防接種ガイドラインに、
きちんと明記してください!

 偉い方は、口頭でしかお答えにならないので、いまいち信頼性にかけます。
(学会の偉い爺さんが死ぬか、厚労省で異動があれば、そのうちまた解釈が変わる。 かもしれない。)

※薬事法上の解釈では、「1週間=7日=24時間×7」だから「水曜→水曜で可」
 という説もあるらしい。 ただし、その根拠を確認できませんでした。


 じつは、予防接種法に「1週間後とは次週の同じ曜日」と明記したとしても、「水→水」接種は確定しない。
 法律の世界では「互いの法律が矛盾する場合、上位の法律を優先する。」原則がある。つまり、民法の「歴的計算方法の初日不参入」が優先される。
 「1週間後」と書かずに、次週同曜日とか、4週目の同曜日とか書くしかないかな。 168時間、672時間だとやっかいだし、民法に忠実に6日後、27日後ではまた混乱しそうだし。
 そのへんの事情で、「1週間後」の解釈は「口伝」のままになってるんだろうな。(;´Д`)

 でも、こういうことは、きちんとしておくべきだと思うよ。

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2004.08.16

世界的権威の"無免許"手術

HNKMIKYO.GIF

国内無免許で心臓手術 神戸でイタリア人医師
日本の医師免許ない世界的権威、神戸で心臓手術に参加
 >院長は「法律的な意識が希薄だった」と話している。


 実際に大学病院などでは、世界的な偉い人に限らず、来日したDr.に手術や検査手技をさせることはあります。
そのときには

外国医師又は外国歯科医師が行う臨床修練に係る医師法第十七条及び歯科医師法第十七条の特例等に関する法律に基づいて申請を行い、許可を得ることになっています。
 院長先生はそのへんの知識が希薄だったのですね。

 もっとも、この法律、「医療に関する知識及び技能の修得を目的として本邦に入国した外国医師又は外国歯科医師が医業又は歯科医業を行うことができるように」制定されたもので、偉い人が日本に教えに来るなんて事態は想定外なのかも?

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2004.07.16

喫煙者と結婚するということはつまりこういうこと

s16.gif

 5,6年前に医学雑誌で見かけて、「うわっ。これは…」と思った写真が、HDの底からたまたま見つかったので、忘れないうちに貼っておく。
 たしか、イギリスかオーストラリアあたりの公共広告だったか。


 むこうの禁煙広告はきっついなあ。…と、しみじみ思った。
smoker.gif



ミネソタ州の公共広告でした。

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2004.06.14

小児気管支喘息治療・管理ガイドライン

HKDD003.GIF

 サイズの加減が判らず、試行錯誤しながら図をアップしたら、グラクソのサイトに置いてあるのを後から見つけた。(苦笑)
 従来の治療法と新しい(国際標準の)吸入ステロイド療法のせめぎ合いで、複雑なガイドラインになっている。
 が、これでも以前に比べればだいぶ良くなったそうだ。先生の中にはステロイド療法について「好んで米国に追随するか?」と攘夷論を唱えるひともいたとか。
 気になるのは、貼付型長時間作用性β2刺激薬の適応が、6~15歳で重症持続型、2歳未満や2~5歳で中等症持続型以上になっていること。ホクナリンテープはテオドールのRTC療法よりも安全性は高いと思いますが。
i/asthmaGL

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i/asthma2-5

i/asthma6-15

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2004.06.09

チメロサール除去ワクチンについて

HKDD003.GIF
thimerosal.jpg

 表を見ると、北研がワクチンからの添加物除去にいちばん積極的であることが判る。

 ただし、これは第一(北里)のMRさんが持ってきた資料なので、他社のチメロサール含有ワクチンでも、かなりの減量(1/10以下)がされている、とか、他社でもチメロサールフリーワクチンの開発が進みつつあることには、当然(;^^)b触れていない。
 逆にタケダのMRさんが持ってきてくれた資料では、生ワクへフェノールレッドを添加して品質管理を行う意義について、力説している。(^^;
 んでもって、さらに北研は、新しい設備を導入して精度をあげたからこそ、フェノールレッド無添加が可能になったのだと力説している。
…私としては生ワクは赤、不活化ワクチンは無色。にしといてくれたほうが、ミスの可能性が減ると思うのだが。(今まで間違えたことはないぞ(;^^)b)
 うちでは、生ワク(麻しん・風しん・おたふくかぜ)は北研、DPT・日本脳炎・インフルエンザは化血研製を使っている。
 チメロサールと自閉症については前にも何度か書いているように、騒いでるドクターがかなりインチキくさい(もちろん含んでいないに越したことはない)と判断している。
 新しい規格のワクチンはMMRや風しんのときのように)導入時にトラブルを起こしたことがあるので、2-3シーズン経過して判断したほうが、こどもたちには安全だと考えている。もともとなんでチメロサールがワクチンに含まれるようになったのかを考えると、慎重になるのは当然だ。

 そろそろDPTは北研に切り替えるが、供給に不安のあるインフルエンザは化血研製、日脳は各社の新製品の状況を見ながら切り替えていくつもりだ。

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2004.06.07

小児の上気道炎における非定型病原体の関与

 上気道炎の9割はウイルスが原因(つまり抗生剤不要)とされているが、

 イタリア・ミラノ大学のグループが、2000年2月から2002年3月まで、127例(平均5.33歳)について行った疫学調査によると、小児の急性咽頭炎の原因として(菌検出・血清抗体価)、肺炎マイコプラズマが19.8%、肺炎クラミジアが16.9%、併せて36.7%が考えられた。同グループによると小児の上気道感染症の最大50%に両病原体のいずれかが関係していると見ている。
 

続きを読む "小児の上気道炎における非定型病原体の関与"

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2004.03.25

ワクチンはなぜ劇薬か

 ワクチントーク全国の、厚生省『予防接種と子どもの健康』攻略本(編集代表毛利子来)
を眺めていたら

     4.予防接種の種類と特徴
     ●厚生省
     不活化ワクチンは病原体を殺し、免疫をつくるのに必要な成分を取りだし
     毒性をなくしてつくったものです。
         ↓
     ●わたしたち
     生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイドもいずれも薬事法上の劇薬です。

 ワクチンは劇薬だから、とにかく危険な毒! と印象を与えたいようだ。

 ところで、ワクチンはなぜ劇薬なのだろう?

 劇薬の定義を調べてみる

薬事法第44条
 毒性が強いものとして厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指
定する医薬品(以下「毒薬」という。)は、その直接の容器又は直接の被包に、
黒地に白枠、白字をもつて、その品名及び「毒」の文字が記載されていなければ
ならない。
 劇性が強いものとして厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指
定する医薬品(以下「劇薬」という。)は、その直接の容器又は直接の被包に、
白地に赤枠、赤字をもつて、その品名及び「劇」の文字が記載されていなければ
ならない。
 前2項の規定に触れる毒薬又は劇薬は、販売し、授与し、又は販売若しくは授
与の目的で貯蔵し、若しくは陳列してはならない

 薬事・食品衛生審議会は何に基づいて意見を出すかというと、LD50(半数致死量)で判断されるらしい
毒・劇薬の指定基準についてに詳しい。

 皮下注射のワクチンのLD50が20mgを越えるかどうかだが、例えば生ワクチンの単位はPlaque Forming Unit(PFU)で表されるほどの微量で、ウイルス20mgなどというと大変な量になってしまう。何万人分なのか何十万人分なのか想像もつかない。実験動物のLD50のテストだけで年間生産量ぶんのワクチンが必要になるかもしれない。
「20mgで何万人分?」「そんなに注射したら死ぬやろ。ふつう。」「じゃあ劇薬指定にしておきましょ。」
…などといった、いいかげんな決め方では、いくらなんでもないだろうが。
 ワクチンの種類にかかわらずすべてが劇薬指定というのは気にかかる。 ひょっとして生物由来製剤はすべて劇薬なのかな? さらにしらべてみよう。

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2004.03.24

水痘は軽い病気か?

 水痘は軽い病気か?

 水痘(水ぼうそう・みずぼうそう)発症予防には主に液性免疫(抗体)が、水痘からの回復には主に細胞性免疫が関与している。白血病や臓器移植患者などの細胞性免疫が低下している人が水痘に罹患すると死亡しやすい。
 免疫機能が正常であっても、成人が水痘に罹患すれば16%が肺炎を合併する。成人水痘の死亡率は小児水痘の25倍と高い。妊婦が水痘に罹患するとリスクはさらに高く、妊娠後期に罹患した妊婦の死亡率は14%と極めて高い※1。 また妊娠初期に罹患すると先天性水痘児のリスクもある
 一般に水痘は軽症の自然治癒する感染症と考えられている。しかし、水痘は免疫低下をもたらすため、細菌の二次感染、肺炎、脳炎などの合併症を起こしやすい。 定期接種が開始される以前の米国の調査によれば、健康なこどもでも年間4500人が入院し、50~100人が死亡していた。死因は劇症型レンサ球菌(溶連菌)の二次感染やライ症候群などだった。


 健康な子どもの水痘合併症(米国:定期予防接種開始以前)


合併症二次性細菌感染      1~4%
 (βレンサ球菌、ブドウ球菌)
ライ症候群         3~4/1000,000
急性小脳失調       25/1000,000
髄膜脳炎          2.5/1000,000


死亡率           1/50,000

年間入院患者数      4,500

年間死亡者数        50~100


早期に診断してアシクロビル(ゾビラックス)を使えば、合併症や死亡者は上の表より減らせるはず。
 私は、水痘予防接種の効果について、水痘の発症率よりむしろ数十年後に起こす帯状疱疹を押さえられるかで判断すべきだと考える。

※1 臨床とウイルス23:103-106,1995


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2004.03.23

三種混合ワクチンでどのくらい免疫がつくか

 ジフテリア・破傷風・百日咳三種混合ワクチン(DPTワクチン・DTPワクチン)でどのくらい免疫がつくか

 DTPのような不活化ワクチンで免疫記憶細胞を誘導する(免疫の初期化)には、必要量の抗原を3~8週間隔で2~3回※1接種すればよい。(1期初回接種)。ただし、1期初回接種で産生される抗体レベルは低く、感染防御レベルを維持できる期間はせいぜい1年半程度にすぎない。。

 そこで、1期初回接種終了おおむね1年後に再接種(1期追加接種、ブースター接種)する。これによって抗体価は飛躍的に上昇し、感染防御レベル以上の抗体価が約10年間持続する。
 免疫の初期化がきちんと行われていれば、ブースター接種時期が数年遅れても、気がついたときに1回追加接種を行えば良好な抗体反応が認められる。※2

 不活化ワクチンでは、まず免疫を初期化し、その後抗体価を維持させるためには繰り返し追加接種を行う必要がある。欧米ではジフテリア、破傷風の感染予防に10年ごとのDT接種を成人に勧めている。



※1 抗体価上昇率よりDTP1期初回は2回でよいという医師もいる。冗長性を省いてよいのならそのとおりである。
※2 DTP1期初回を3回行う理由の一つ。 1年後の追加接種忘れは全体の数割に達するが、3回接種していれば、最初からやり直す必要はない。

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2004.03.22

世界のBCG

 BCG接種は1921年以降いちばん世界的に普及している予防接種である。WHOは各国のさまざまなBCG接種スケジュールを認めながらも、世界的視野から推奨すべき方法を示している。


 世界で行われているのBCG接種スケジュールは、だいたい次の4通り

1)出生直後にのみBCGを行う。
 WHO推奨。開発途上国に多い。日本も今後はこのグループに入る。
 BCGは乳幼児の重症結核の予防に有効なのは間違いないから。
 
2)小児期にBCG1回接種
 英国を中心とした欧州数ヵ国。
 12,3歳ごろにツベルクリン反応陰性者に接種。
 学校を卒業し社会に出て、結核の感染に曝される前に免疫をつける。

3)繰り返しBCG接種を行う
 スイスやポルトガル、従来の日本の方法、乳児期1回、入学前あるいは卒業前に2回目
 東欧諸国(特にロシア、ルーマニア)では、出生後から30歳までに最大5回のBCG接種。
(ただし、一律に全員接種orBCGの痕がない人orツベルクリン反応陰性者、など判定基準は異なる)

4)BCG接種を行わない
 米国とオランダ。
 スウェーデンやチェコもこの方法になりつつある。
 どの国もハイリスク群に対してはBCGを接種している。
 米国の基準だと、日本の地域の多くはハイリスク群に入る。

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